世界中で人気がある村上春樹の小説は、文字通り世界中で映画化され、評価されています。
直近であれば『ドライブ・マイ・カー』の映画化作品が、カンヌで異例の4冠を獲得して話題になりました。
今回は村上春樹が原作の映画作品を7つを取り上げ、それぞれの魅力と無料で鑑賞する方法を紹介します。
目次
『風の歌を聴け』(1974年)
監督 | 大森一樹 |
キャスト | 小林薫、真行寺君枝 巻上公一 |
レビュー | Filmarks:3.4 |
視聴方法 | U-NEXT(31日間無料) |
原作 | 『風の歌を聴け』 |
記念すべきデビュー小説の映画化です。
監督は村上春樹の中学の後輩で、ロケ地は同郷である神戸の街が舞台になっています。「ハーフタイム」という現存のバーが、作中のジェイズ・バーに使用されました。ピンボールも置いてあり、まさに原作の世界観を彷彿させるお店です。
撮影に当たってヌーヴェル・ヴァーグを意識したためか、カメラワークの美しさが評価されています。主題歌は原作内に登場する、ビーチボーイズの『カリフォルニア・ガールズ』が使用されています。楽曲使用料が数百万円で、制作費を圧迫したという逸話もあります。
原作に忠実かつ、村上春樹の原風景を映像で辿れる、ファンにおすすめの作品です。
『トニー滝谷』(2004年)
監督 | 市川準 |
キャスト | イッセー尾形、宮沢りえ 西嶋秀俊 |
音楽 | 坂本龍一 |
レビュー | Filmarks:3.8 |
視聴方法 | U-NEXT(31日間無料) |
原作 | 『トニー滝谷』 『レキシントンの幽霊』収録 |
もともと村上春樹のファンである市川準監督が、原作に脚色を加えて映画化しました。
イッセー尾形、宮沢りえ、の豪華なキャストに加え、音楽は坂本龍一が担当しています。スイスやスペインの国際映画祭などで受賞を獲得し、村上春樹本人も称賛していたと言われています。
原作とは異なり、妻が結婚前に付き合っていた男が登場したり、独自のエピローグが追加されていたりします。死んだ妻の洋服を着せるために雇おうとした女性ですが、原作では雇わず終いだった彼女に、1年の年月を経て再び電話をかける展開も描かれています。
監督独自の解釈で物語を作り替えた映画作品ですが、評価が高く、純粋に面白いので原作を知らない人にもおすすめです。
『神の子どもたちはみな踊る』(2007年)
監督 | ロバート・ログヴァル |
キャスト | ジョアン・チェン ジェイソン・リュウ ソニア・キンスキー |
レビュー | Filmarks:2.8 |
視聴方法 | DVD |
原作 | 『神の子どもたちはみな踊る』 |
アメリカ合衆国で映画化された逆輸入の作品になります。
舞台が日本からアメリカに作り替えられているため、それに合わせて設定や物語に大幅な変更が加えられています。非常に賛否両論が激しく、「村上作品は映画化すべきでない」というある種の共通認識がファンに根付いたきっかけとなった作品と言えるでしょう。
ただし、村上作品は日本より海外で映画化した方がしっくり来るという意見も多いです。個人的には、作中の主題である”宗教”に、アメリカ故のキリスト教のバイアスがかかっていたのが良かったと思います。
主人公役のジェイソン・リュウがアメリカと中国のハーフであることの異邦人感や、ヒロインのソニア・キンスキーの妖艶さを映像美で映し出す本作。村上作品の世界観に固執しすぎない人におすすめです。
※現在、動画配信サービスに存在しないため、今後追加された場合は更新します。
『ノルウェイの森』(2010年)
監督 | トラン・アン・ユン |
キャスト | 松山ケンイチ、菊池凛子 水原希子 |
レビュー | Filmarks:2.9 |
視聴方法 | FOD(2週間無料) |
原作 | 『ノルウェイの森』 |
松山ケンイチ、菊池凛子、水原希子、という圧倒的キャストで送る、村上春樹の長編大傑作の映画化です。
村上春樹に映画化の許可を得るのに4年かけ、劇中におけるビートルズの「ノルウェーの森」の原曲利用が異例的に認められるなど、かなり力を入れて創作された作品です。興行収入は14億円を突破し、ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門に出品されました。
監督がパリ育ちで、カンヌの新人賞を獲得した経歴があるだけに映像美が優れています。また、映画音楽はレディオヘッドのギタリストであるグリーンウッドが担当しており、張り詰めたサウンド演出が巧みです。
ただし、あまりに人気が高い村上作品であるだけに、こちらも賛否両論が激しいです。原作を愛読する方は身構えてしまうかもしれません。個人的には映像美と音楽演出と60年代の空気感が独特の緊張感を含んでいて好きでした。村上作品の世界観に固執しすぎない人におすすめです。
『ハナレイ・ベイ』(2018年)
監督 | 松永大司 |
キャスト | 吉田羊、佐野玲於 村上虹郎 |
レビュー | Filmarks:3.4 |
視聴方法 | U-NEXT(31日間無料) |
原作 | 『ハナレイ・ベイ』 「東京奇譚集』収録 |
原作の舞台であるハワイで実際に撮影された、LDHのレーベル配給の映画作品です。
前回の『ノルウェイの森』から8年の空白を経て、再び村上作品が映画化されたことで話題になりました。美しいハワイの風景描写が長尺で映し出されても、全く退屈させない優れた脚本。そして何より、ハワイの自然の中でも圧倒的な存在感を放つ吉田羊さんの一人演技の素晴らしさが、かなり評価されているようです。
ちなみに挿入歌にはイギーポップの名曲『The Passenger』が使用されています。
典型的な起伏がある物語ではなく、淡々とした描写の中で登場人物の心情を紐解いていく、まさに村上春樹の短編小説らしい映画なので、村上作品に思い入れがある人にもおすすめです。
『バーニング』(2019年)
監督 | イ・チャンドン |
キャスト | ユ・アイン スティーブン・ユァン チョン・ジョンソ |
レビュー | Filmarks:3.7 |
視聴方法 | U-NEXT(31日間無料) Netflix(無料トライアル終了) |
原作 | 『納屋を焼く』 |
『納屋を焼く』を原作に韓国で映画化された作品です。これまでの映画化と比べて圧倒的にクオリティが高いと評価されました。
韓国では初日に5万2324人を動員し、これは『デッドプール2』に次いで2位でした。バラク・オバマが2018年に観たお気に入りの映画に選んだことでも有名です。カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品され、国際批評家連盟賞を受賞しました。
基本的には原作『納屋を焼く』の物語を主軸にしていますが、そこに韓国の若者が抱える問題意識が落とし込まれて、かなりボリュームのある物語に作り替えられています。(大筋はそれほど変わりませんが)
原作ではメタファー的に描いた「納屋を焼く行為」と「彼女の失踪」の真相が、監督独自の解釈で描かれています。非常に見応えのある映画なのでおすすめです。
『ドライブ・マイ・カー』(2021年)
監督 | 滝口竜介 |
キャスト | 西島秀俊、三浦透子 岡田将生 |
レビュー | Filmarks:4.1 |
視聴方法 | ※追加次第掲載します |
原作 | 『ドライブ・マイ・カー』 『女のいない男たち』収録 |
カンヌ国際映画祭において、日本映画初となる脚本賞など、異例の4冠を獲得した、文句の付けようのない作品です。Filmarksでの視聴者の評価も驚異の「4.1」です。
文庫本だと数十ページの物語が、約3時間の映像に脚色されています。原作通り物語は殆どが車の中での会話劇なのですが、3時間という長さを全く感じさせません。密接でありながらパーソナルスペースが守られる車中やバーで、人と人が心を通わせる様子が巧みに描かれています。個人的には、3時間あったからこそ、原作よりもさらに主人公の想いが伝わったように思います。
原作の小説と、映画の両方を鑑賞することをおすすめします。
上映期間から間もないため、さすがに動画配信されていません。配信開始しましたら本記事を更新しますので、映画館へ足を運び損ねた人は絶対に鑑賞してください!
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