日本を代表する破滅型の作家・太宰治。
昭和初期から戦後にかけて活躍し、『人間失格』をはじめ多くの名作を生み出しました。
しかし彼の生涯は苦難に満ち、最期は愛人と入水自殺をし、38歳でこの世を去りました。
幾度もの自殺未遂、アルコールや薬物中毒、女性関係・・・
本記事では、太宰治の破滅的なクズエピソードを紹介していきます。
嗚呼!生まれてすみません!!
愛すべき文豪のクズエピソードをお楽しみください!
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プロフィール
ペンネーム | 太宰治(38歳没) |
本名 | 津島修治(つしましゅうじ) |
生没 | 1909年ー1948年 |
出身地 | 青森県(津軽) |
死因 | 入水自殺 |
作品の主題 | 人間の心理 信用と裏切り |
代表作 | 『人間失格』 『斜陽』 『女生徒』 『走れメロス』 |
■参考文献
太宰治の自殺未遂遍歴
■1回目
当時20歳。下宿先で催眠鎮静剤を過剰摂取し、昏睡状態で救出される。マルキシズムの政治思想による行き詰まりが原因か。
■2回目
当時21歳。銀座の女給と、鎌倉の海岸で催眠剤心中を決行。女給は死に、自分だけが助かる。生家から勘当されたことが原因か。
→「人間失格」「道化の華」で描かれる
■3回目
当時25歳。鶴岡八幡宮の裏山で首吊り自殺を決行。しかし途中で紐が解けたため未遂に終わる。東大入試の落第と新聞社の採用試験の落第が原因か。
→「狂言の神」で描かれる
■4回目
当時27歳。谷川岳山麓で内縁の妻と催眠剤心中を図るが未遂に終わる。妻が親戚の美大生と肉体関係を持っていたことが原因。自殺未遂の後に妻とは離別。
→『姥捨』で描かれる
■5回目
当時38歳。愛人の山崎富栄と入水自殺。2人とも遺体で発見された。
太宰は当時病状が悪化しており、入水前に息絶えていたという説もある。
芥川賞落選で、選考委員に脅迫
今でこそ、作家の最もたる栄冠として名を馳せる芥川賞ですが、当時は直木賞とともに制定された、新人作家の登竜門でした。
数回の自殺未遂で世間を騒がせた太宰治は、いよいよ本気で作家としての道を進む決心をします。実家から勘当されたこともあり、執筆で生計を立てる必要があったのです。ちょうどその頃、記念すべき第1回目の芥川賞が開催され、太宰治の作品が候補に選ばれました。
しかし、結果は落選に終わります。
選考委員であった川端康成は、太宰治が落選した理由を次のように述べています。
「作者目下の生活に厭な雲ありて、才能の素直に発せざる恨みあった。」
これは、鎮痛剤の中毒になり、薬を購入するために借金を重ねていた、太宰治の生活面を指摘した発言でした。
太宰治は芥川賞の賞金を手に入れて借金を返済する目論見がありましたし、その上自分の人間性を非難されたと感じたのでしょう、川端康成に向けて抗議文を書きます。
「刺す。そう思った。大悪党だと思った。」
ほとんど脅迫のような文章を、太宰は文芸通信に投稿し、とかく世間を騒がせます。今だったら確実に脅迫罪で捕まっています。
この脅迫の抗議文に対して、川端康成は、太宰治の文学性を非難しているわけではないと返答します。実際に川端は、後に太宰治の代表作「女生徒」という作品を絶賛し、彼の文壇への道筋をサポートします。
川端康成の絶賛は本心なのか、太宰治の狂気に怯えてなのか、真相は闇の中ですが・・・。
選考委員に泣きつく太宰の狂気
第1回芥川賞の落選によって、脅迫のような抗議文を投稿した太宰治でした。
続く第2回の芥川賞では、太宰治の作品は候補にすら上がりませんでした。
さすがに危機感を覚えた太宰治は、選考委員だった佐藤春夫に宛てて、次のような手紙を送ります。
「佐藤さん、私を忘れないで下さい。私を見殺しにしないで下さい。」
実際に太宰治から佐藤春夫に送られた手紙は、あまりの文量に、長さが4メートルにまで及んだそうです。もはや狂気染みています。佐藤春夫もさぞ恐ろしかったことでしょう。
結局、太宰治は最後まで芥川賞を受賞することはありませんでした。
友達を人質に逃亡、メロスは幻想
「走れメロス」という作品があるように、太宰治は人間同士の信用について深いテーマを持っていました。
しかし、私生活においては平気で友達を裏切るクズ人間でした。
ある時、太宰治は熱海の旅館に篭って執筆活動に励んでいました。しかし、宿泊費が払えなくなった太宰治は、妻に連絡して、友人である作家檀一雄に金を届けてもらいます。
しかし、檀一雄が熱海にやって来ると、太宰治は執筆もほどほどに、2人で大酒を飲んで、またしてもお金を浪費してしまいます。せっかく妻に頼んだ金もすっからぴんです。
再び宿泊費が払えなくなった太宰治は、友人の菊池寛にお金を借りて来ると言って、檀一雄を宿泊費未払いの旅館の人質にして、1人で東京に帰っていきます。
檀一雄は太宰治の言葉を信じ、熱海の旅館で待っていましたが、一向に彼から音沙汰がありません。
ついに痺れを切らした檀一雄は、旅館の番頭を説き伏せ、自分も東京に戻ります。すると太宰治は、のんびり将棋などを指していました。
あまりの腹立たしさに、檀一雄が怒鳴り散らすと、太宰治はこう言ったのでした。
「待つ身が辛いかね、待たせる身が辛いかね」
全く意味が判りません。
メロスとセリヌンティウスの熱い抱擁は幻想、実際はセリヌンティウスは磔で処刑される運命だったようです・・・。
志賀直哉をディスりまくる
太宰治や坂口安吾は「無頼派」と呼ばれ、新しい文学によって既存の文学の壁を乗り越えようというポリシーのもと執筆に取り組んでいました。そして、彼らにとって既存文学の象徴とは、昭和初期に文壇の大家としてのさばっていた志賀直哉でした。
こういった背景から、太宰治らは尽く志賀直哉を目の敵にします。その一方で志賀直哉も新進気鋭な太宰らにいちいち批評を飛ばします。
「とぼけて居るね。あのポーズが好きになれない」
座談会で太宰の印象を聞かれて(志賀直哉)
スーツベスト姿の太宰が丸いすに足を乗せている有名な写真がありますが、それについて志賀直哉が言及した内容です。
当時は太宰の『斜陽』がベストセラーになり、落ちぶれた貴族を呼称した「斜陽族」という言葉が流行になるくらい絶頂を迎えていました。ところが『斜陽』の文学的価値についても、志賀直哉は苦言を残しています。
こうした衝突の末に、太宰治は『如是我聞』という随筆の中で、志賀直哉に対する怒りを爆発させます。
いったい、この作家は特別に尊敬せられているようだが、何故、そのように尊敬せられているのか、私には全然、理解出来ない。どんな仕事をして来たのだろう。ただ、大きい活字の本をこさえているようにだけしか思われない。
『如是我聞/太宰治』
「暗夜行路」大袈裟な題をつけたものだ。彼は、よくひとの作品を、ハッタリだの何だのと言っているようだが、自分のハッタリを知るがよい。その作品が、殆んどハッタリである。(中略)いったい、この作品の何処に暗夜があるのか。ただ、自己肯定のすさまじさだけである。
『如是我聞/太宰治』
「グッドバイ」というタイトルを残し自殺
太宰治の生涯は、女性問題につきます。「自殺遍歴」に記した通り、彼は幾度となく女性と心中自殺を図りました。あるいは、妻だけではなく、愛人との間にも子供がいます。
晩年に太宰治は、妻と子と愛人を捨てて、山崎富栄という超美人の美容師に手を出します。
「死ぬ気で恋愛してみないか」
屋台のうどん屋で偶然知り合った山崎富栄に対して、太宰治が持ちかけた口説き文句です。
その言葉通り、山崎富栄にとっては、妻子持ちの太宰治と恋仲になるには命がけの覚悟が必要でした。富栄は、妻子を気にかけながらも「でも、若し恋愛するなら、死ぬ気でしたい」と返答します。こうして2人は、道徳の外側で結ばれました。
心身ともに衰弱する太宰治を看病しながらも、徐々に自分が捨てられることを予感し、富栄は嫉妬の念を募らせるようになります。その結果、富栄は太宰治の妻に次のような手紙を送りつけます。
「修治さん(太宰の本名)はお弱いかたなので、貴女やわたしやその他の人達にまでおつくし出来ないのです。わたしは修治さんが好きなので、ご一緒に死にます。」
その後、玉川上水の土手で、2人が入水した痕跡が発見されます。数日後には2人の水死体が引き上げられました。
富栄の死顔は、激しく恐怖しているような鬼のような形相だったようです。一方で太宰治は安らかな死顔であったことから、入水前に死んでいたか、あるいは仮死状態だったと推測されています。
幾度となく自殺を繰り返してきた太宰治は、こうして呆気なくこの世を去っていきました。狼少年ではありませんが、どうせ今回も未遂に終わるのだろうと気を抜いていたら、本当に死んでしまったような腑抜けた感じがします。
当時彼には連載中の小説がありました。雑誌編集者の主人公が、愛人たちと手を切っていく物語です。そのタイトルが「グッド・バイ」というのも、皮肉のような、運命のような、最後までキザな人だなと微笑ましくなります。
太宰治と山崎富栄の情死に関しては、下記記事にて詳しく書いています。太宰と近しい坂口安吾の随筆なので鋭い考察がされています。
太宰治の悪口語録
いやしいねえ。実にいやしいねえ。自分が、よっぽど有名人だと思っているんだね
バスに乗ったときに有名作家を見かけて
だから、俺はね、お前が嫌いなんだ。成人部ってさ
風俗店ではなく旅館に泊まりたいと言った堤重久(一番弟子)に対する苦言
なんだ。君は。こんな贅沢な室で、おまけにストーブまでついていて、そのうえ、親切な姉さんまでいて、それでも、いい小説が書けんのかねえ
友人の中村地平に向けた苦言
蛞蝓みたいにてらてらした奴で、とてもつきあえた代物ではない
中原中也をくさした発言
引用元は下記書籍になります。
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