太宰治のおすすめ短編小説ランキング10選

太宰10選 散文のわだち
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戦後の日本文学を代表する文豪、太宰治

人間失格」や「斜陽」など、晩年の長編小説が有名ですが、実は生涯彼が執筆した280作品の大半は短編小説です。

今回は有名な長編小説は既に読んだことがある人向けに、太宰治のおすすめ短編小説をランキング形式で紹介しようと思います。彼の作風は私小説の要素が強いため、太宰治の人格を理解する上でも、ワンステップ踏み込んで短編小説を読むことをお勧めします。

ちくま文庫の全集を購入するのは気力的にも金銭的にもハードルが高い、という人には最適な記事になっております。

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プロフィール

ペンネーム太宰治
生没1909年ー1948年
出身地青森県
作品の主題人間の心理、信用と裏切り

10位『親友交歓』

たっぷり半日、親友交歓をしたのである。
私には、強姦という極端な言葉さえ思い浮かんだ。

作品紹介

実家の青森県に疎開していた時期に、太宰治が経験した出来事が題材になっています。

学生時代の大して親しくもない同級生が生家を訪ねて来て、馴れ馴れしく家に上がり込み、散々好き勝手に振舞う低俗な様子が面白おかしく描かれています。
2人のぎこちない関係には、戦後の共産主義的な時代背景が関係している・・・?

太宰治の一特色とも言える、ユーモア混じりの皮肉と、俯瞰的な明るさが感じれる、そこまで陰鬱とはしていない作品です。

発表時期1946年(昭和21年)
読書時間20分未満

『親友交歓』のあらすじ考察

9位『走れメロス』

人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ。

作品紹介

教科書に掲載される、誰もが一度は読んだことがある名作です。比較的に太宰治の精神が安定していた時期の作品になります。

人間不信に陥った暴君ディオニスと、正義感の強いメロスとの信念の戦いが描かれています。自分の代わりに人質になった親友セリヌンティウスを救うために、メロスは裸になるまで走り続けます。行く手を阻む障害の連続に、悪心に陥りそうになるメロスは、友のために最後まで走り抜けることができるのか。

太宰治が生涯作品の主題として書き続けた「人間の信念」が、最も判りやすく表現された作品です。逆に言えば、義務教育の教科書に掲載できる程度には陽気な作品であります。

発表時期1940年(昭和15年)
読書時間20分未満

『走れメロス』のあらすじ考察

8位『畜犬談』

芸術家は、もともと弱い者の味方だった筈なんだ。

作品紹介

太宰治が甲府に住んでいた頃に、野良犬に悩まされていた体験がそのまま物語の題材になっています。

犬嫌いの主人公が、ある1匹の醜い野良犬に好かれ、庭に住みつかれてしまう物語です。酷暑の苛立ちも相まって、その野良犬を毒殺することに決めた主人公の心情の変化が繊細に描かれています。野良犬との出会いによって、主人公は芸術のあり方を再確認する!?

暴力的な言葉で犬を罵る様子が非常に滑稽ですが、表現者の原点を思い返すきっかけを与えてくれる感動的な作品です。

発表時期1939年(昭和14年)
読書時間30分未満

『畜犬談』のあらすじ考察

7位『姥捨』

おれは、おれ自身の苦しみに負けて死ぬのだ。なにも、お前のために死ぬわけじゃない。

作品紹介

5回の自殺経験がある太宰治の、4回目の自殺の様子が描かれた私小説要素の強い作品です。

妻が義理の弟と姦通を犯したことを知った主人公が、情死を図ろうとする物語です。悪者を演じることでしか社会と向き合えない繊細で優しい男が、初めて自らの幸福のために愛の責任を放棄する、生活の克服が描かれています。

『人間失格』で葉蔵が3番目に関係を持つヨシ子と重ね合わせて、スピンオフ的に楽しめる作品となっています。

発表時期1938年(昭和13年)
読書時間30分未満

『姥捨』のあらすじ考察

6位『トカトントン』

拝啓。気取った苦悩ですね。
真の思想は、叡智よりも勇気を必要とするものです。

作品紹介

ファンから送られてきた手紙の内容を元に、太宰治が創作した書簡形式の作品です。

終戦のタイミングで耳にした「トカトントン」という不思議な音が、主人公の生活に付き纏う奇妙な物語です。労働も、恋愛も、思想も、娯楽も、その音を聞いた途端に熱意が完全に覚めてしまうのです。不思議な音の正体は、戦後の日本人の喪失感を象徴していた・・・?

奇妙な物語であるだけに、深読みすればするほど解釈が広がる謎多き作品です。いよいよ太宰治に死が近づいているような陰りが感じられます。

発表時期1947年(昭和22年)
読書時間30分未満

『トカトントン』のあらすじ考察

5位『きりぎりす』

もう、あなた達の事は、私には、さっぱり判りません。人間の誇りが、一体、どこへ行ったのでしょう。おわかれ致します。

作品紹介

『走れメロス』と同様に、太宰治の精神が比較的に安定していた時期の作品です。

しがない芸術家だった夫が、成功した途端に高慢ちきになり、それを見兼ねて妻が別れを切り出す物語です。人の世で器用に生きる夫に、どうしても共鳴できない妻の純真な心が生々しい独白形式で描かれています。「きりぎりす」の鳴き声は一体何を示唆していたのか、果たして人間の品格とは・・・?

『斜陽』や『ヴィヨンの妻』など晩年の作品で発揮した女性一人称の才能が開花した、太宰治の女性性が感じられる小説です。

発表時期1940年(昭和15年)
読書時間30分未満

『きりぎりす』のあらすじ考察




4位『狂言の神』

一本の外国煙草がひと一人の命と立派に同じ価格でもって交換されたという物語。私の場合、まさにそれであった。

作品紹介

5回の自殺経験がある太宰治の、3回目の自殺の様子が描かれた小説です。精神病院に入院していた最も暗黒な時代に執筆された作品であるため、描写は総じて陰鬱です。

庶民の生活を切望する小説家が、新聞社の就職試験に不採用になり、首吊り自殺を決行するまでの様子が描かれた物語です。過去に自殺未遂を経験しているからこそ確実な方法で死のうとする主人公の、ひびだらけで張り詰めた緊張が伝わってきます。彼に生活の執着を芽生えさせたのは、見落としそうなほど些細な特別だった・・・?

入水自殺に失敗し、青松園という例の病院に入院していた頃から、7年が経過した設定の物語なので、『人間失格』のスピンオフ的な作品として楽しめます。
物語の最中に主人公が作者本人であることが明かされる、現実と物語が入り混じった実験的な文体が特徴的です。

発表時期1936年(昭和11年)
読書時間30分未満

『狂言の神』のあらすじ考察

3位『道化の華』

ほんとうは、僕にも判らないのだよ。
なにもかも原因のような気がして。

作品紹介

5回の自殺経験がある太宰治の、2回目の自殺後の様子が描かれた小説です。主人公の名前は「人間失格」と同じ葉蔵です。

園という女性と入水自殺を決行し、自分だけが助かった葉蔵の入院生活を綴った物語です。友人たちや実の兄の訪問を受け、鬱屈とした雰囲気に飲み込まれないように、わざと平穏を装っている葉蔵の心情が生々しく描かれています。
「何もかもが原因のような気がする」と口にした葉蔵の自殺の動機とはいかに・・・?

「人間失格」と同じ名前の主人公の物語です。そのため「人間失格」では詳細に描かれなかった、入水自殺後の出来事に焦点を当てたスピンオフ作品として楽しむことができます。物語の途中に何度も太宰治の注釈が入ります。現実と虚構の境界線が滅茶苦茶になった実験的な文体が特徴的です。

発表時期1935年(昭和10年)
読書時間40分未満

『道化の華』のあらすじ考察

2位『ヴィヨンの妻』

人非人でもいいじゃないの。
私たちは、生きていさえすればいいのよ

作品紹介

「きりぎりす」同様に、芸術家の妻の目線で描かれた、女性一人称の傑作です。

放蕩癖のある芸術家の夫が料理屋で現金を盗んだことで、妻のさっちゃんがその料理屋で働くようになる物語です。夫の退廃生活が、妻をリアリストに豹変させてしまうという、芸術家の情けないくらい弱い様子が描かれています。戦後の日本人女性の生に対する執着が、皮肉にも汚れきった美しさで表現されています。

破滅的な芸術家を支える幾人もの女性たちの強さが感じられ、太宰治がいかに女性に生命を繋いでもらっていたかを理解させられる作品です。

発表時期1947年(昭和22年)
読書時間30分未満

『ヴィヨンの妻』のあらすじ考察




1位『女生徒』

福は一夜おくれて来る。幸福は、――

作品紹介

19歳のファンの少女から送られてきた日記が元になって創作された小説です。

感受性の強い少女が、目覚めてから眠るまでの1日のうちに感じたことをひたすら独白する物語です。厭世的な思春期の少女が抱える「純粋に対する憧れ」と「アイデンティティの渇望」が口語体で綴られています。その言葉の形崩れ感が、生身の人間の不完全さや脆さを体現していて引き込まれます。物語性が無く、ひたすら考えが綴られているだけなのに、全く退屈しない、太宰治の文才が最も感じられる名作です。

かつて芥川賞の選考に際して太宰と一悶着あった川端康成が、後に称賛したことで有名になった最高傑作の短編小説です。太宰治の女性一人称の魅力はこの作品に始まり、この作品に全てが詰まっていると言っても過言ではありません。

発表時期1939年(昭和14年)
読書時間35分未満

『女生徒』のあらすじ考察




まとめ

【太宰治のおすすめ短編小説10選】

10位『親友交歓』
09位『走れメロス』
08位『畜犬談』
07位『姥捨』
06位『トカトントン』
05位『きりぎりす』
04位『狂言の神』
03位『道化の華』
02位『ヴィヨンの妻』
01位『女生徒』

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満島ひかり、森山未來など個性的な俳優陣が太宰治の世界観を演じきっています。実写だけではなくアニメやCGなど様々な手法で、代表的な短編小説が楽しめます。個人的に非常に面白かったのでおすすめです。

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代表作『人間失格』を映像で楽しむ

太宰治の代表作『人間失格』は約10年に1度のペースで必ず映像作品化等が為されます。いつの時代も人々が必要とする主題が描かれているからでしょう。

原作の物語に忠実な映像作品であれば、生田斗真主演の『人間失格』がおすすめです。

太宰治の女性関係に特化した映像作品であれば、小栗旬主演の『人間失格 太宰治と3人の女たち』がおすすめです。

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当ブログの筆者は元々アンチ電子書籍でした。しかし紙の本より価格が安く、場所を取らず持ち運びが便利で、紙媒体と大差ない視覚感で読むことが出来る「Kindle」は、思わず買ってしまいました・・・

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以上、太宰治の短編小説を読む際には参考にしてください。

長い間お付き合いありがとうございました。この文章が気に入った方は、是非シェアをお願いいたします。




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