太宰治『グッド・バイ』あらすじ解説 未完の遺作品

グッドバイ 散文のわだち
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太宰治の小説『グッド・バイ』と言えば、未完の遺作です。

『人間失格』を完成させ、続いて『グッド・バイ』の連載が始まり、13回分の原稿を遺して、愛人の山崎富栄と入水自殺を図りました。

本記事では、あらすじを紹介した上で、物語の内容を考察しています。

さらに太宰治関連の映画を無料で鑑賞する方法もお伝えします!

『グッド・バイ』の作品概要

作者太宰治(38歳没)
発表時期  1948年(昭和23年)  
ジャンル未完の小説、遺作
テーマ男女の喜劇
関連2020年に映画化
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『グッド・バイ』あらすじ

あらすじ

編集長の田島は、妻子持ちの身で10人以上の愛人がいます。戦後に世の中の気風が変化していく中で、彼は女性関係を綺麗さっぱり絶つことに決めます。

絶世の美人に妻の役を演じてもらい、愛人たちの元を回っていけば、彼女たちも諦めざるを得ないと考え、そんな作戦を決行します。

絶世の美人はどこに?

闇での商売でかつて知り合ったキヌ子という女性に妻の役を引き受けてもらいます。普段の容姿は醜く、声も悪い女ですが、身を整えればとてつもない美人だったのです。

案の定、日本橋の美容院に勤める愛人の元にキヌ子を連れて行くと、愛人は全てを悟ったような顔をします。田島は愛人の耳元で「グッド・バイ」と囁くのでした。

大食いで意地汚いキヌ子に辟易しながらも、残りの愛人の離別に努めます。ところが、洋画家の愛人の元へ向かう場面にて、本作は未完のまま終了してしまいます。

▼合わせて読みたい情報!

太宰治の映画がおすすめ

その破滅的な人生から、太宰治に関する映画は多数発表されています。

・『人間失格』生田斗真主演
・『ヴィヨンの妻』
松たか子主演
・『グッドバイ』
仲村トオル(演劇)
・『人間失格 太宰治と3人の女たち』小栗旬主演

中でも『人間失格 太宰治と3人の女たち』は、山崎富栄と自殺するまでの怒濤の人生が描かれており、特に人気が高いです。

監督は蜷川実花で、二階堂ふみ・沢尻エリカの大胆な濡れ場が魅力的です。

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『グッド・バイ』の個人的考察

個人的考察

太宰治には結末の構想があった?

遺作『グッド・バイ』は、朝日新聞の学芸部長である末常卓郎という男の依頼によって連載が始まりました。

末常卓郎によると、遺作『グッドバイ』は、「逆のドン・ファン」という構想のもとで執筆されていたようです。

ドン・ファンとはスペインの戯曲を由とする、架空のプレイボーイのことです。貴族の娘を誘惑する色男の悲劇が元になって、「女たらし」の代名詞になっているのです。つまりその逆の物語とすれば、美しい愛人たちと次々に離別する男の喜劇になるでしょう。

愛人たちと綺麗さっぱり離別したのちに、離別を望んでいなかった妻に別れを告げられる、というまさに喜劇仕立てのオチが構想として用意されていたようです。

グッドバイ作戦を実行した田島が、最終的にグッドバイされる立場に陥るのですから非常に太宰治らしいですよね。彼は必ず主人公である自身を不運な境遇に陥れようとするのですから。いくら『斜陽』で評価されてもやはり太宰治。彼の自己嫌悪の美学は最期まで健在でした。

映画で描かれた二次創作的な結末

2020年に公開された、大泉洋と小池栄子主演の『グッドバイ~嘘からはじまる人生喜劇~』では、監督の独自解釈で未完の物語の続きが描かれていました。

概ねは、太宰治が構想していた「逆のドン・ファン」に忠実に描かれています。つまり妻にグッドバイされるという展開が主人公に訪れるわけです。

ただし、妻にグッドバイされた田島が、協力してもらっていたキヌ子に真実の愛を見出すという独自の結末が映画では描かれています。本当に大切な人は案外身近にいるものだ、というようなある種コメディ映画の結末に相応しいロマンチックなハッピーエンドです。

個人的には、原作の観点から考えると、非常に太宰治らしくない結末でした。活字で追う限りでは、キヌ子の下卑た性格に田島が惚れるような展開は想像できません。あるいは太宰治が描く主人公が真実の愛を見出すことはないでしょう。なぜなら彼は「幸福に傷つけられる」タイプの人間なのですから。

ただし、限りなく原作の世界観に近いため違和感なく作品に没入できます。キヌ子役の小池栄子の演技が、声が悪くて下卑ている原作の個性を巧みに体現している点も感心します。

映像作品として観る価値はあります。

遺作を書いていた当時の太宰治

朝日新聞連載の原稿を13回分執筆し、惜しくも未完のままこの世を去った太宰治でした。

坂口安吾と共に無頼派として戦後の日本文学の系譜を背負う立場であった太宰治ですが、終戦から数年で呆気なく死んでしまったのです。

1947年に発表した『斜陽』がベストセラーになった太宰は、世間的にも、文壇においても、作家としての地位を築くことになります。翌年には代表作『人間失格』が完成します。

この頃には既に情死相手である山崎富栄と愛人関係にありました。

坂口安吾の随筆なんかにはこの山崎富栄が非常に否定的に書かれているのですが、実際に彼女は太宰治に惑溺しており、嫉妬深い感情が危ない方へ向かっていたようです。一時的に太宰治を軟禁状態にしていたという事実もあります。

また当時の太宰治は長年の薬やアルコール中毒の弊害として、大量に喀血するくらい体調不良が悪化していました。そうして間も無く太宰治と山崎富栄は入水自殺を決行します。

自殺には様々な推測があります。山崎富栄が半ば強制的に入水を決行した説、入水の直前には既に太宰治は衰弱によって意識が昏倒していた説などです。いずれにしても天国で太宰治と結ばれたいと言う山崎富栄の恋愛感情のもつれが引き起こした結果だと考えることができます。

ともすれば、13回分の投稿で未完に終わった本作は、山崎富栄との齟齬がなければ完成していたのかもしれません。上手に愛人と「グッドバイ」できなかった故に未完のまま死んでしまったとしたら、太宰治の最期はまるで喜劇ではありませんか。

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