日本が誇る国民的童話作家、宮沢賢治。
いつの時代も学校の教科書に掲載され、世代を超えて広く愛されています。
その一方で、痛烈なメッセージが込められた賢治の童話は、子供よりも大人にこそ刺さる物語が多いです。
本記事では、宮沢賢治のおすすめ代表作10選を紹介していきます。
宮沢賢治を読破した筆者が、厳選して紹介しています!
①『銀河鉄道の夜』
■未完の最高傑作「ほんとうの幸」とは?
発表時期 | 1934年(昭和9年) |
ジャンル | 中編小説 |
■あらすじ
孤独な少年ジョパンニは、気がつくと友人のカンパネルラと共に銀河鉄道に乗り込んでいた。彼らは車内で個性的な人々と出会い、人間にとって「ほんとうの幸」とは何なのかを考える・・・。
37年の生涯で宮沢賢治が追求したテーマの集大成が描かれる、未完にして完成された名作。本作にインスパイアされたアニメ、音楽などが多数存在します。
②『風の又三郎』
■不思議な転校生が起こす不思議な12日間
発表時期 | 1934年(昭和9年) |
ジャンル | 中編小説 |
■あらすじ
谷川の小学校に転校してきた三郎が、再び去っていくまでの12日間を描いた物語。不思議な転校生・三郎が巻き起こす、自然の脅威と危険な経験によって、子供達は成長のドアを開ける・・・。
子供たちの心象風景を、現実と幻想の交錯で描く神秘的な名作。方言や東北に伝わる民話、あるいはオノマトペが用いられた、最も賢治らしい物語。
③『よだかの星』
■宮沢賢治史上、最も胸が痛む童話
発表時期 | 1921年(大正10年) |
ジャンル | 短編小説 |
■あらすじ
「よだか」という鳥は、容姿が醜いために皆に仲間はずれにされ虐められている。故郷を離れることにした「よだか」は、命がけで夜空に向かって飛び続け、星を目指す・・・。
『銀河鉄道の夜』にも通づる、生と幸福を追求した、あまりにも悲しすぎる名作。教科書に掲載され、いじめや差別についての教訓を子供達に伝えてきた名著。
④『オツベルと象』
■痛烈な社会風刺が込められた寓話
発表時期 | 1926年(大正15年) |
ジャンル | 短編小説 |
■あらすじ
百姓を扱き使う支配者オツベルは、偶然現れた白い象を捕まえて金儲けを企む。オツベルに酷使され、飯もろくに与えられない白い像は、次第に弱っていく・・・。
資本家による搾取や、植民地支配など、大正期の社会情勢を痛烈に批判した傑作。
⑤『注文の多い料理店』
■宮沢賢治史上、最も不気味な童話
発表時期 | 1924年(大正13年) |
ジャンル | 短編小説 |
■あらすじ
山にスポーツ狩猟に来た紳士二人が、偶然見つけたレストラン山猫軒。そのレストランは注文が多く、それを聞き入れていくうちに、二人の紳士は恐ろしい事実に気づく・・・。
小学校の教科書に掲載される名著。殺傷問題のみならず、近代資本主義のブルジョワ文化まで痛烈に批判した社会派童話。
⑥『セロ弾きのゴーシュ』
■生前最後に執筆された童話
発表時期 | 1924年(昭和9年) |
ジャンル | 短編小説 |
■あらすじ
チェロ弾きが下手なゴーシュ。夜な夜な練習をする彼の部屋に、毎晩動物が訪ねて来る。意地悪なゴーシュは動物たちに悪態を吐くが、実は彼らの訪問が演奏の上達に繋がっていた・・・・。
宮沢賢治が実際にチェロを練習していたために生まれた名作。教科書に掲載され、謙虚に学ぶことの重要さを教えてくれる。
⑦『毒もみのすきな署長さん』
■人間の欲望を描いた狂気の童話
発表時期 | 1986年(昭和61年) ※執筆時期不明 |
ジャンル | 短編小説 |
■あらすじ
毒もみを使って魚を取ることが禁止されている国に、新しい署長がやって来た。それ以来、毒もみ漁が多発し、なんと犯人は署長だったが、一体彼の目的とは・・・。
「100de名著」という番組内で取り上げられた、比較的マイナーな作品。人間の狂気を描く、賢治には異色の作風。
⑧『グスコーブドリの伝記』
■科学的な見識からアプローチした文学
発表時期 | 1932年(昭和7年) |
ジャンル | 中編小説 |
■あらすじ
飢饉で両親を失ったブドリが、学問の道に進み、農夫達を救おうとする壮大な物語。火山を人工的に爆発させ、温室効果ガスを発生させて冷害を解決する作戦。しかし、誰か1人が犠牲にならなければ、この作戦は完遂できない・・・。
農学や天文学など、理系の知識があった賢治だから書けた異色の文学。比較的ページ数が多く、SF的な設定や、ハラハラする結末まで組み込まれていて、クオリティが高い。
⑨『なめとこ山の猫』
■資本主義と殺傷問題に斬り込む問題作
発表時期 | 1934年(昭和9年) |
ジャンル | 短編小説 |
■あらすじ
熊を撃たなくては生計を立てられない猟師の小十郎。ある日、彼が熊を撃ち殺そうとすると、なぜ自分を殺すのだ、とその熊に問われる・・・。
殺傷問題だけでなく、生きるために止むを得ない労働者の視点も描いた、葛藤の物語。
⑩『やまなし』
■宮沢賢治史上、最も難解な童話
発表時期 | 1923年(大正12年) |
ジャンル | 短編小説 |
■あらすじ
リズミカルな文章で描かれる、5月と12月の川底の風景。兄弟の蟹が水面に浮かぶ「クラムボン」を見つめている。「クラムボン」とは一体何なのか・・・。
小学校の教科書に掲載される児童文学の中で、最も難解な作品。宮沢賢治の幻想的な作風と、自然の美しさと、詩的な文章が最大限に活かされた名著。
宮沢賢治詩集
■概要
誰もが知る『雨ニモ負ケズ』、妹トシの死の悲しみを歌った『永訣の朝』、生前に唯一刊行された詩集『春と修羅』など、146編の詩作品が収録されている。
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