中村文則おすすめ代表作品10選|純文学からミステリー小説まで

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中村文則 おすすめ作品

日本のみならず世界で人気がある中村文則。

芥川賞をはじめ数多の文学賞を受賞し、海外のメディアでも頻繁に選出されている。

そんな著者の小説は、フランス古典文学の影響を受け、人間の内部を深く追求した「陰鬱」な作風が特徴である。

他にも、ミステリー要素を取り入れた作品や、政治色の強いSF作品など、様々なジャンルに挑んでいる。

本記事では、下記4つのジャンルに分類して、おすすめ代表作10選を紹介する。

・暗くて深い初期の作品群
・エンタメ的で読みやすい作品群
・ミステリー系の作品群
・政治色が強い作品群

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暗くて深い初期の作品群

■作品の特徴
・孤児、被虐体験などトラウマに苦しむ
・暗い雰囲気で、最後まで救いがない
・著者の文学の中核をなす
・コアなファンから人気が高い

①『銃』

■衝撃のデビュー作/銃を拾った男の物語

発表時期   2003年(平成15年)   
ジャンル中編小説(216ページ)
受賞新潮新人文学賞

■作品紹介
24歳で新潮新人賞を受賞したデビュー作。フランス文学の影響を受けた、古典的な純文学の系譜を引く作品で、芥川賞の候補作にもなった。文庫版には短編小説『火』を併録。

2018年に映画化され、村上虹郎が主演を務めた。

■あらすじ
大学生の西川は雨の降る河原で銃を拾う。銃の美しい存在感に魅了された西川は、自分はいつか人間を撃つ、という確信に狂い出す。そんな西川のもとに警官がやって来て、彼は精神的に追い詰められていく・・・

中村文学の中核となる「暗さ」「深さ」の原点を知れる1冊!

②『遮光』

■野間文芸新人賞/虚言癖の男の物語

発表時期   2004年(平成16年)   
ジャンル中編小説(155ページ)
受賞野間文芸新人賞

■作品紹介
野間文芸新人賞を受賞した2作目の小説。著者が「自分の文学の中核をなす作品」と言及しており、その遮光された暗い作風は、初期作が好きなファンから特に人気が高い。

■あらすじ
恋人の死を周囲に隠し、彼女の小指を瓶に入れて持ち歩く男。愛する者の死に抵抗すべく虚言癖になった彼の行為は、狂気か、はたまた純愛か。男は光のない暗闇の中で、亡き恋人との一体化を渇望する・・・

中村文学史上、最も陰鬱で救いようがなく、好き嫌いが分かれるかも知れない。

③『土の中の子供』

■芥川賞受賞作/被虐体験と破滅願望

発表時期   2005年(平成17年)   
ジャンル中編小説(152ページ)
受賞芥川賞

■作品紹介
芥川賞を受賞した著者3作目の小説。過去2作に共通する「孤児」というテーマに焦点を当て、被虐体験を受けた人間の精神の暗部を追求する。文庫版には著者初の短編小説『蜘蛛の声』を併録。

■あらすじ
27歳でタクシー運転手の主人公は、実の親に捨てられ、親戚夫婦に虐待を受けた過去の記憶に束縛されている。恐怖に依存し、希死の衝動を弄ぶことで、精神の暗部に何かを求めている。そんな主人公のもとに、実の父親から会いたいと連絡が届き、ますます彼の精神は歪んでいく・・・

過去2作と同様、中村文学の原点「暗さ」「深さ」に触れたい人におすすめ!

④『何もかも憂鬱な夜に』

■孤児、死刑制度、生死に向き合う傑作

発表時期    2009年(平成21年)   
ジャンル長編小説(200ページ)

■作品紹介
過去作から続く人間の暗部の追求に加え、死刑制度や生死など、新たに倫理的なテーマを取り入れた、著者6作目の小説。初期の集大成とも言える傑作で、これ以降の小説は作風が変わる。

■あらすじ
施設出身で刑務官の主人公は、夫婦を刺殺して死刑になるであろう二十歳の未決囚を担当している。主人公は自分と未決囚を重ね合わせる中で、自殺した施設の友人や、施設長とのやりとりなど、過去の混沌と対峙することになる。

初期の陰鬱さをさらに深め、同時に微かな希望を見出した、文句なしの最高傑作!

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エンタメ的で読みやすい作品群

■作品の特徴
・「悪」や「運命」といった文学テーマ
・世界のメディアで高く評価された
・エンタメ要素がある純文学
・入門編におすすめ!

⑤『掏摸』

■世界的作家の契機となったベストセラー

発表時期   2009年(平成21年)   
ジャンル長編小説(192ページ)
受賞・大江健三郎賞
・ウォール・ストリート・ジャーナル
 ▶︎ベスト10小説

■作品紹介
大江健三郎賞を受賞。ウォール・ストリート・ジャーナル紙ベスト10に選出。世界中で翻訳された、著者8作目の小説。
「悪」「運命」といった文学テーマが強調され、同時にエンタメ要素も強くなり、一般大衆に広く支持されている。

■あらすじ
金持ち相手に掏摸をする主人公は、ある日、最悪の男「木崎」と再会する。木崎は主人公がかつて仕事を共にした闇社会の男。木崎は主人公に命令する。「三つの仕事をこなせ。失敗すればお前を殺す。逃げればお前が情を持つ親子を殺す」絶対的な悪と、逃れようのない不条理な運命・・・

初期作から一転して、比較的読みやすい作品なので、純文学が苦手な人にもおすすめ!

⑥『悪意と仮面のルール』

■『掏摸』に次いで世界で評価されたノワール

発表時期   2010年(平成22年)   
ジャンル長編小説(400ページ)
受賞ウォール・ストリート・ジャーナル
▶︎ベストミステリー10作品

■作品紹介
講談社100周年記念の書き下ろし。ウォール・ストリート・ジャーナル紙ベストミステリー10に選出。『掏摸』に次いで世界中で評価された、著者9作目の小説。

2018年に映画化され、玉木宏、新木優子、吉沢亮など、豪華俳優陣が出演した。

■あらすじ
世界を不幸にする「邪」の子供として育てられた主人公。その歪な風習を通じて、この世界の悪の連鎖や、政治戦争の背後にある利権問題など、社会の闇が明かされる。果たして主人公は「邪」の風習を断ち切り、愛する人間を守ることはできるのか・・・?

「悪」「運命」「殺人の是非」など、重たいテーマを描く一方で、純度の高い恋愛小説としてもおすすめの1冊!

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ミステリー要素の強い作品群

■作品の特徴
・純文学とミステリーを合体させた作風
・予測不能のトリックに驚愕
・物語の本筋は恋愛小説
・純文学が苦手な人におすすめ!

⑦『去年の冬、きみと別れ』

■読者を騙しまくる驚愕のミステリー

発表時期   2013年(平成25年)   
ジャンル長編小説(195ページ)

■作品紹介
純文学の要素を持つミステリー小説。読者を騙して、騙して、騙しまくる驚愕のトリックに、話題騒然のベストセラーとなった。

2018年に映画化され、岩田剛典、山本三月、斎藤工など、豪華俳優陣が出演した。

■あらすじ
ライターの「僕」が面会した猟奇殺人犯は、二人の女性を殺して死刑判決を受けていた。取材を進めるにつれ、事件の動機や、そもそも本当に殺人だったのか、不可解なことが増えていく。その闇に包まれた真相には、小説でしか表現できない、衝撃のトリックが隠されている・・・?

中村文学史上、最もミステリーに振り切った作品なので、伏線回収を楽しみたい人におすすめの1冊!

⑧『私の消滅』

■ドゥマゴ文学賞 純文学ミステリーの最高峰

発表時期   2016年(平成28年)   
ジャンル長編小説(175ページ)
受賞Bunkamuraドゥマゴ文学賞

■作品紹介
『去年の冬、きみと別れ』を超える作品として書かれた、17作目の小説。著者が「これ以上複雑な作品は書けない」と語る、予測不能な純文学ミステリー。Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞し、世界各国で絶賛された。

■あらすじ
「このページをめくれば、あなたはこれまでの人生の全てを失うかもしれない」
そう書かれた手記を読む「僕」は、小塚亮太という人物に成り代わろうとしている。義父や祖母に虐げられ、母がスナックの客に犯される姿を日常的に目撃し、やがて母に暴力を振るって施設に入れられた小塚。そんな暗い過去を抱える人間に、なぜ「僕」は成り代わる必要があるのか・・・?

ミステリーが好きな人、初期の暗く深い作品が好きな人、双方におすすめ!

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政治色の強い作品群

■作品の特徴
・宗教、戦争、テロなどの問題が描かれる
・ページ数が多い長編大作
・ディストピア的な世界観
・SF系が好きな人におすすめ!

⑨『教団X』

■カルト教団を題材にした圧倒的最高傑作

発表時期   2014年(平成26年)   
ジャンル長編小説(608ページ)

■作品紹介
一般大衆に知れ渡る契機となった著者の代名詞的作品。ウォール・ストリート・ジャーナル紙ベスト10に選出。アメリカ・デイヴィッド・グーディス賞を日本人で初受賞。アメトークの読書芸人で紹介され反響を呼んだ。

■あらすじ
突然自分の元から失踪した女性を探し、主人公が辿り着いたのは、性の解放を謳う謎のカルト教団だった。やがて教団は暴走し、この国を根幹から揺さぶる行動に出る。その悪の教祖を通じて、4人の男女の運命が絡まり合う。神とは、運命とは何か。

著者自ら最高傑作と語る本作は、全ての人におすすめしたい1冊!

⑩『R帝国』

■政治・社会の闇を暴く「反抗の書」

発表時期   2017年(平成29年)   
ジャンル長編小説(381ページ)

■作品紹介
政治色の強い『教団X』の系譜を引き、近未来の全体主義を描いたディストピア小説。2018年「キノベス」1位、アメトークの読書芸人で絶賛。著者曰く、昨今の世界の流れを懸念した反抗の書。

■あらすじ
与党が議席の99%を占めるR帝国で戦争が始まる。テロ来襲を発端に、次々に不可解な事件が発生していく。その背後には、戦争利権や資源ルートの確保、国民感情の洗脳など、あらゆる政治的陰謀が隠されている。真実に気づいた人々は政府の陰謀を暴くために動き出すが、圧倒的な権力を前に本当の絶望を知ることになる・・・

著者の作品群で最も政治思想が強く、賛否両論を巻き起こしたが、『教団X』を超えるくらい壮大でひたすら面白い1冊!

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まとめ

【中村文則おすすめ代表作10選】

①『銃』
②『遮光』
③『土の中の子供』
④『何もかも憂鬱な夜に』
⑤『掏摸』
⑥『悪と仮面のルール』
⑦『去年の冬、きみと別れ』
⑧『私の消滅』
⑨『教団X』
⑩『R帝国』

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